2023年 07月 05日
■焼玉エンジン■ |
ダイムラーとベンツが開発した「プラグで点火する4サイクルレシプロエンジン」は、今でこそ「エンジンの原型」と言われていますが、最初から唯一無二のエンジンだったわけではなく、当時山ほど設計・製造・実用化されたエンジンの中から、生存競争で生き残った勝者です。
生存競争で負けてしまい、表舞台から姿を消したエンジンは数限りなくありますが、その中にはコンパクトさで優れる物、出力で優れる物、低振動で優れる物、部品点数の少なさで優れる物など、決して見劣りしない物がありました。
そんな、同時期に設計された多様なエンジンの中に、部品点数が少なく低コストで整備性も高い事で大成功した、焼玉エンジンという物があります。
ざっくり説明すると、プラグのような点火装置は無く、ディーゼルのように超高圧縮によって点火するのでも無く、球状の燃焼室(焼玉)をバーナー等で余熱しておき、混合気を内部で自己着火させることで燃焼するエンジンです(ダイムラー・ベンツのライバルではなく、ディーゼルのライバルでした)。
このエンジンの優れている部分は、高熱の焼玉内に燃料を噴射すると、燃料が高熱で勝手に蒸発して吸気と混合。混合気が焼玉と圧縮の高熱で勝手に燃焼して出力を発生するというシステムにあります。
混合気を作るためのキャブレターが不要、ディーゼルのような燃料噴射装置や超高圧縮も不要、プラグやコイル、デスビ等の点火装置も不要、圧縮比が低いので高オクタン燃料も不要。
もちろん、エンジン始動後の焼玉は燃焼の熱で自ら発熱するため、延々と炙り続ける必要は無く、構造が簡単で高精度を要求しない事などから、全国各地の鉄工所で製造され、船舶用として日本を席巻する勢いのシェアを誇っていた…頃もありました。
構造から何から簡単簡素で価格も安い焼玉エンジンですが、もちろん大きな弱点が存在します。それは燃費の悪さと全然パワーが出ないことです。
過熱した焼玉が気化器兼点火装置というシンプルな構造と引き替えに、点火時期の調整ができない事は理解できると思いますが、理想の燃焼タイミングより遙か前に自己着火してしまうため、高性能化に必須の高圧縮化ができないのです。
こうなると高出力化=巨大化は避けられず、どんどん小型化&高出力化するディーゼルエンジンや点火装置付きエンジンの後塵を拝し、その歴史に幕を降ろしました(現在も趣味や展示用、ポンポン船など僅かに残っています)。
ちなみに、
黎明期には水蒸気で燃焼室温度(つまり点火タイミング)を調整する機構もあったそうですが、当然ながら手間の掛かる人力制御だった事や、使用燃料との相性(エンジン寿命の低下)の問題もあり、後に開発された水冷(いわゆるシリンダーのウォータージャケットを冷却水が循環するタイプ)に置き換わり、こちらが広く普及しました。
「広く普及した実用エンジンの中で、最もシンプルかつ整備性の高い物」であっても、「より複雑」で「より部品点数も多く」、「より高額」な電気点火装置付きエンジンには勝てなかったのです。
「広く普及していた」ということは、焼玉エンジン関係の設計、製造、流通、整備関係者も日本中にいらっしゃったと思いますが、中には最後の最後まで焼玉エンジンの整備に従事し続けた方もいらっしゃったと思います。

そして現在
我々の愛する「広く普及している」電気点火装置付きエンジンが次々と直噴化しつつあるのと並行して、電気自動車化が進んでいます。
今後、内燃機関自体が焼玉エンジンのように失われてしまうかもしれない。という可能性が笑い話では無くなりつつありますが、エンジンの面白さや奥深さを知っている我々は、簡単に諦めることが出来ません。最後の最後まで焼玉エンジンに従事していた方達と同様に、私達も最後まで内燃機関に手を入れ続けて行きたいと考えます。
生存競争で負けてしまい、表舞台から姿を消したエンジンは数限りなくありますが、その中にはコンパクトさで優れる物、出力で優れる物、低振動で優れる物、部品点数の少なさで優れる物など、決して見劣りしない物がありました。
そんな、同時期に設計された多様なエンジンの中に、部品点数が少なく低コストで整備性も高い事で大成功した、焼玉エンジンという物があります。
ざっくり説明すると、プラグのような点火装置は無く、ディーゼルのように超高圧縮によって点火するのでも無く、球状の燃焼室(焼玉)をバーナー等で余熱しておき、混合気を内部で自己着火させることで燃焼するエンジンです(ダイムラー・ベンツのライバルではなく、ディーゼルのライバルでした)。
このエンジンの優れている部分は、高熱の焼玉内に燃料を噴射すると、燃料が高熱で勝手に蒸発して吸気と混合。混合気が焼玉と圧縮の高熱で勝手に燃焼して出力を発生するというシステムにあります。
混合気を作るためのキャブレターが不要、ディーゼルのような燃料噴射装置や超高圧縮も不要、プラグやコイル、デスビ等の点火装置も不要、圧縮比が低いので高オクタン燃料も不要。
もちろん、エンジン始動後の焼玉は燃焼の熱で自ら発熱するため、延々と炙り続ける必要は無く、構造が簡単で高精度を要求しない事などから、全国各地の鉄工所で製造され、船舶用として日本を席巻する勢いのシェアを誇っていた…頃もありました。
構造から何から簡単簡素で価格も安い焼玉エンジンですが、もちろん大きな弱点が存在します。それは燃費の悪さと全然パワーが出ないことです。
過熱した焼玉が気化器兼点火装置というシンプルな構造と引き替えに、点火時期の調整ができない事は理解できると思いますが、理想の燃焼タイミングより遙か前に自己着火してしまうため、高性能化に必須の高圧縮化ができないのです。
こうなると高出力化=巨大化は避けられず、どんどん小型化&高出力化するディーゼルエンジンや点火装置付きエンジンの後塵を拝し、その歴史に幕を降ろしました(現在も趣味や展示用、ポンポン船など僅かに残っています)。
ちなみに、
黎明期には水蒸気で燃焼室温度(つまり点火タイミング)を調整する機構もあったそうですが、当然ながら手間の掛かる人力制御だった事や、使用燃料との相性(エンジン寿命の低下)の問題もあり、後に開発された水冷(いわゆるシリンダーのウォータージャケットを冷却水が循環するタイプ)に置き換わり、こちらが広く普及しました。
「広く普及した実用エンジンの中で、最もシンプルかつ整備性の高い物」であっても、「より複雑」で「より部品点数も多く」、「より高額」な電気点火装置付きエンジンには勝てなかったのです。
「広く普及していた」ということは、焼玉エンジン関係の設計、製造、流通、整備関係者も日本中にいらっしゃったと思いますが、中には最後の最後まで焼玉エンジンの整備に従事し続けた方もいらっしゃったと思います。

我々の愛する「広く普及している」電気点火装置付きエンジンが次々と直噴化しつつあるのと並行して、電気自動車化が進んでいます。
今後、内燃機関自体が焼玉エンジンのように失われてしまうかもしれない。という可能性が笑い話では無くなりつつありますが、エンジンの面白さや奥深さを知っている我々は、簡単に諦めることが出来ません。最後の最後まで焼玉エンジンに従事していた方達と同様に、私達も最後まで内燃機関に手を入れ続けて行きたいと考えます。
by avo-motec
| 2023-07-05 12:29
| ブログ
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