2023年 05月 31日
エンジン特性上の段付き |
エンジンの特性上、どうしても出力に山や谷が出てしまう場合があります。これは特性上の問題であれば仕方がない事で、解消することができません。
現車セッティングをする場合、まず特性上発生してしまう谷を「可能な限り持ち上げる」努力はしますが、魔法では無いので限度があります。山側を削ることで凸凹感を無くす…という手段もあると思いますが、「谷より下しか使わない」場合や「谷より上しか使わない」シチュエーションが多い場合には、美味しく使いたいところのパワーとトルクを削ることになるため、せっかくセッティングしたのに遅くなってしまいます。このため、谷の部分の出力を可能な限り底上げするのと同時に、山の部分もキッチリと仕上げるのが弊社の方針です。
機械的に段付きが発生してしまう物を制御側で消すことはできませんが、発生する段付きに対して精密に対応することができます。
例えば図AのようなVTECのロー側カムとハイ側カムの切り替えポイント。
例えば低回転側のトルクが厚く、高回転側のトルクは細いロー側カムと、高回転が得意なハイ側のカムで、それぞれ出力を測定。ロー側とハイ側の計測グラフを重ねて、両方のグラフが交差するポイントを切り替え点にすることが肝心です。
図は極端な例ですが、切り替えが速すぎたり遅すぎたりすれば出力の段差が大きくなってしまいます(二段加速のようで楽しいという一面は否定しませんが今回は割愛)。
ロー側カムの性能を最大限に発揮するポイントと、ハイ側カムの性能を最大限発揮する領域を生かすことで、両方のカムの良い部分だけを生かすだけではなく、段差もギリギリまで減らせることが理解できたでしょうか。
もうひとつ重要なのが、切り替わり付近のセッティングです。
判りやすくするためにおおざっぱな例になりますが、例えば燃料テーブルの縦軸が1000rpm刻みで、5000rpmと6000rpmのサイトに最適な燃料噴射量が設定されている場合、その中間の領域は計算値で噴射量が決定されます(図Bの赤い点線部分)。ところが、その領域に段付きがあるとどうなるか。
本来であれば計算値通りの噴射量で適正な燃焼がおこなわれますが、実際には出力が落ちているので「燃料が濃い状態」になります。
すると、ただでさえ出力が落ちる領域にもかかわらず、さらにセッティングも合わないので落ち込みが大きくなり、加速の谷がより顕著になるだけではなく、無駄に燃料が濃い部分が発生するなど悪い事ずくめです。
MoTeC ECUのようなフルコンの場合、谷が発生した付近のサイト数をピンポイントで増やせるため、谷が発生したポイントも最適な噴射量とすることができます。これなら空燃比のズレからさらに落ち込む事を抑えられるので、出力の落ち込みを軽減できると同時に、無駄な燃料噴射も改善されます。エンジンの機構的な理由での落ち込みを改善する事はできませんが、結果として落ち込みを最小限に抑えることができます。
もちろん、段差のあるエンジン特性に対して詳細に燃料噴射量をセッティングしたところで、ECUの制御レスポンスが悪ければ詳細な噴射設定に追従できませんが、制御レスポンスの高いMoTeCならば可能です。
by avo-motec
| 2023-05-31 17:24
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