2022年 09月 30日
ドンガラGT-R 製作編3 電子スロットル |
RB26がデビューした当時、従来のスポーツカー用エンジンと異なり、まるでレース用エンジンだ!と衝撃を受けました。
どの辺にレース用エンジンと感じたか、どの辺が従来と違ったのかは一言で説明しきれませんが、その中の一つがマルチスロットル。「6連スロットルを純正装着したターボエンジン」は、後にも先にも日本ではRB26だけ。それだけ特別な物なのです。
マルチスロットルの何が凄いのかというと、一般的な直列エンジンには1個しか無いはずのスロットルが6個。しかも他車に流用できないRB26専用設計。そのRB26はGT-Rにしか搭載されていないので、つまりGT-Rのためだけに開発された特別な装備。これだけでも普通ではありません。
スロットルバタフライの直後に吸気ポートのあるマルチスロットルは、レスポンスに優れるとされていますが、それだけではありません。
オーバーラップ度数の大きいカムシャフトに交換しても、アイドリングを安定させやすいのです。
ウェーバーやソレックスを多連装着した旧車のエンジンは、308度などレース専用品のような度数のカムを組んで街乗りしている方が多数いらっしゃいます。
対するサージタンク付きスポーツエンジンの多くは、ストリート仕様に288度のカムを組もうものなら、アイドリングを1500~2000rpmなど高く設定しなければまともに走れなくなってしまいます。
吸気バルブと排気バルブが同時に開いた状態(オーバーラップ)は、エンジンが高速回転した際の吸排気効率を最大にするための物ですが、アイドリングのように吸入空気の流速が遅い領域では、排気行程で吸気バルブからも排ガスが出てしまいます。
このとき、勢いよくサージタンクに流入するのですが、別の気筒は吸入行程なので、吸い込もうとしているところに圧が掛かってしまいます。こうなるとアイドリングが不安定になり、800~1000rpmで安定させるのが難しくなるばかりか、そこから発進するのも困難になります。
でも、多連キャブレターや多連スロットルの車輌では、そこまで高い回転数に設定せずともアイドリングさせることができます。
これは各気筒が独立しているために、アイドリング時に発生する吹き返しが他の気筒の吸気に影響を与えないからです。つまり、多連スロットル化はレース用カムシャフトを組んだ際にも街乗りしやすいというメリットがあるのです。
マルチスロットルは、GT-Rがストリートカーでありながら、従来の域を超えるハイパワーチューニングを許容できた理由のひとつだったのです。
前置きが長くなりましたが、ここからが本題。
現在製作中のドンガラGT-Rは、純正の多連スロットルを外してシングルスロットル化する事にしました。
取り付けるのは、もちろん電子スロットルです。
さんざん多連スロットルの良さを語りながらシングルスロットルに変更した理由ですが、まず第一にアイドリングが乱れる程のオーバーラップカムを使いません。
吸気側カムのバルブタイミングを自由にコントロールできるHKS製Vカムを搭載しているので、アイドリング領域のオーバーラップを低くすることができます。
そして、ここが一番重要な部分ですが、MoTeC M1で制御することで、マルチスロットル以上に乗りやすく仕上げることが可能です。
輸入スポーツカーの中には、純正で多連スロットルを電子制御しているモデルが存在します。その機構を参考に多連スロットルを電子制御化する技術は既に定番で、弊社のSNSでもテックアート様が製作した4連電子スロットルの4A-Gや、ラウンドエンジニアリング様が製作した6連電子スロットルのL6を紹介しているので、覚えている方も多いと思います。
これと同様に、RB26の多連スロットルを電子制御化することも不可能では無く、既に海外にはそのようなキットが存在します。使用しなかったのには理由がありますが、、、今回はシングルスロットルでさまざまな制御をおこなって行きます。
電子スロットル化のメリットは色々ありますが、お客様からの声で一番多いのは「エンストしにくくなった」という部分です。
現代のチューニングカー用クラッチは、一昔前と比較して随分と乗りやすくなってはいますが、ふとした瞬間にエンストしてしまうのは、MT車あるある話。もちろんMoTeC M1制御でもブレーキ踏んだままクラッチを繋げばエンストしますが、「ちょっとアクセルを踏み込んでいればエンストしなかった」程度の物なら、ほとんど回避してくれます。
もちろんMoTeC M1+電子スロットルで利用可能となるローンチコントロールやアンチラグのような制御も利用できるようになりますし、どんどん活用していこうと考えていますが、この辺の制御は使った事が無い人にはピンと来ないと思いますので、ストリート仕様のエンジンにとって最大のメリットである、乗りやすいという面をを大事に仕上げて行きたいと考えています。
ちなみに、シングルスロットル用のサージタンクは、タコ足同様にスコーチレーシング様が販売しているハイパーチューン製。アルミの美しい質感が腐食で損なわれないように、Ace-garage様でセラコート(クリア)を施工して頂きました。
by avo-motec
| 2022-09-30 18:04
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