2022年 04月 06日
■MoTeC ECUの日本初上陸■ |
90年代初頭、オーストラリアのメルボルンで、日本の中古スポーツカーを輸入販売していたHarry Kojima(ハリーこじま)。
オーストラリアはアメリカンV8の大排気量マッスルカー信仰が厚いお国柄ですが、80年代末くらいから日本の2000ccクラスのターボ車人気が爆発しました。
マッスルカーと比較して軽量でハンドリングも良く、ターボの加速も気持ち良い。日本では底値のような価格で中古車情報誌に掲載されるのが常だったRX-7(SA22C。5~20万円くらいだった)が、オーストラリアで爆発的な人気を博し、ロータリーエンジンチューニングにも火が付きました。
現在、オーストラリアのチューニング業界で成功し、重鎮クラスになっている方々の中にも、当時Harry KojimaからRX-7を購入し、ロータリーエンジンの洗礼を受けた方がたくさんいます。
日本からの輸入中古車で大成功したHarry Kojimaは、中古車販売店の裏でチューニング部門「AVO」を立ち上げ、チューニングショップとしても成功するのですが…
1993年、ヨーロッパでEU発足。
この年、オーストラリは空前の大恐慌になりました。
各国の企業や投資家が次々とオーストラリアから撤退し、最後まで頑張っていた日本の自動車メーカーも撤退を発表。
この事態を重く見たオーストラリア政府は、内需に甘く、輸入に厳しい方針を発表。中古車の関税が2倍にアップしてしまいました。
もはや日本から中古車を輸入販売することができなくなりました。
Harry KojimaはオーストラリアのAVOで、ギャレット製ターボチャージャーを「HKSの次に販売量の多いメーカー」と評されるほどに成功させ、MoTeC制御のデモカーでギネスブックを獲得するなど、オーストラリアのチューニング業界でも一目置かれる傑物でしたが、この不況だけはどうにもなりません。
そこで、オーストラリアで使用している高性能パーツを日本に輸出することを考えました。
当時オーストラリアで人気が高く、日本にはまだ無いパーツ。それはロータリーエンジン用のセラミックス製アペクスシールです。
日本でロータリーエンジンのチューニングショップといえば、RE雨宮。
セラミックス製アペックスシールを手にHarry KojimaはRE雨宮の門戸を叩いたのですが… ちょうどRE雨宮では翌年から参戦が決定していた全日本GT選手権で走らせるマシン製作の真っ最中。搭載予定の3ローターエンジンを制御するのに最適なECUはありませんか?という話になりました。
セラミックスアペックスシールに食いついてもらえると思っていたのに、エンジン制御ECUの相談を受けるとは思いもよりませんでした。が、オーストラリアで散々使っていたMoTeCが、ルマンでマツダの3ローター用として使用されていた実績があるのを思い出し、早速MoTeC ECUを手配。
日本に初上陸したモデルは「MoTeC Fuel & Ign 3D」。
燃料噴射と点火時期を3Dマップで制御できる…という製品です。
今ならどのフルコンでも点火と燃料の制御は可能ですが、実は「燃料噴射」と「点火時期」の両方を制御できる1BOXのECUは、ボッシュの特許。特許を回避するために市販車でも「燃料制御ECU」と「点火制御ECU」の2BOXを使用しているメーカーがある程で、社外メーカーのフルコンではパイオニア的存在だったのです。
エンジンベンチに載せられた3ローターのセッティング作業と、MoTeC Fuel & Ign 3Dの使い方の解説をやらせて頂き、エンジン制御は無事完了。RE雨宮のマシンは初年度からシリーズランキング2位と好成績を収めることができました。
雨宮氏から「こんなに良い物なんだし日本で売った方がいいよ!」と後押しして頂いた事もあり、オーストラリアからの撤退を決意。
現地のAVOは従業員に譲り、日本でMoTeC製品を販売するためのディーラー「AVO/MoTeC Japan」をスタートすることになったのです。
色々と詳細を省きましたが、ざっくり解説するとこんな顛末です。
もっと詳しく知りたい方は、以下のリンクに当初からのストーリーを掲載しおりますので、是非御覧になってください。
写真のディーノは
AVO MoTeC Japan設立当初に販売したMoTeC M8 ECUで制御された個体。国産V6用クラセンをワンオフ装着し、デスビを撤去した同時点火仕様。現在も元気に走っておられます。取り付けとセッティングを担当したエンジニアは、業界でも雲の上の存在と崇められている田代氏です。
(2018年にMoTeC M84制御になりました)
by avo-motec
| 2022-04-06 16:24
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