2022年 04月 02日
Lジェトロニック |
Kジェトロニックに引き続き、Lジェトのニックの解説です。
エアクリーナーBOX付近に取り付けられ、エンジンに入る空気量を計測するのがエアフローセンサーです。
ざっくりとした説明になりますが、エアフローメーターを通過した後の空気に何キロのブーストが掛かろうと、インタークーラーでどれだけ冷却されようと、通過した空気量に対して燃料噴射量を決定します。このエアフローセンサーを使用するシステムを考案したボッシュの登録商標が「Lジェトロニック」です。
今でこそMoTeC ECUのようなフルコンを使ってエンジン制御を行うのは一般的になりましたが、国産スポーツカーが電子制御された黎明期の80年代は、「電子制御を外してキャブにする」「追加インジェクターで燃料を増量する」という手段や、純正ECUを騙して燃料噴射量を増やすパーツ(ずっと冷間増量)等が一般的でした。
当時のエアフロは、現代の「通過する空気量を測定するセンサー」的な物とは違い、負圧や通過する空気の流れで開閉するフラップの「開き具合」をポテンションメーターで測定するというアナログ的な物です。
トヨタだとAE86~AE101レビン/トレノの4A-G、MZ/GZスープラ/ソアラの7M-GTや1G-GT、日産だとインジェクション仕様のL型すべてとDR30スカイラインのFJ20、マツダならFC3S RX-7の13BやJCESユーノスコスモの20B等に、機械式エアフローメーターが採用されていました。
80年代末~90年代前半にかけて、ホットワイヤー式やカルマン渦式のエアフローセンサーにアップグレードされたり、Dジェトロ(来週解説します)になり、新車からは無くなりました。
フラップ式エアフロは雑に扱うと壊れやすい一面もあるにはありますが、今でも壊れず現役旧車のエンジン制御をしている個体も多く、優秀なシステムです。
現在の電子制御と比較するとアナログ感のある仕組みですが、そんなセンサーが一般的だった80年代にも「純正ECUに手を加えて大容量インジェクターを使用する」という、先進的な事を実践した偉大なエンジニア様は存在しました。
当時のエンジン制御はフラップ式エアフロ(吸入負圧で開きバネの力で閉じる弁。開いた角度で吸入量を測定)を使用したLジェトロ。フラップが閉じているときは0%、吸入負圧で徐々にフラップが開き、全開時にはフラップ開度が100%。燃料噴射量も全噴射になる…という物です。
純正エンジン用としては問題ありませんが、エンジンチューニングが進んでいくと大きな問題が発生します。本来であれば、街乗りから全開領域までの空気流量を想定したエアフロが、中間域くらいで100%全開になってしまうのです。
エアフロの開度に応じて燃料噴射量を変更したいのに、ずっと開きっ放しでは噴射量の変更ができません。このような理由から、追加インジェクターを使って「純正のマップが無い領域の燃料噴射をおこなう」という方法が定番でしたが、それでは納得できません。
メインインジェクターで燃料制御をおこなうには、チューニングエンジンに対応するエアフロが必要です。
そこで考え出されたのが、強化スプリングです。
例えば純正で200psのエンジンを400psに改造しようと考えた時、エアフロのフラップは200psの時点で開きっ放しになってしまう。そうならないように、フラップが400psで全開になるようにエアフロのスプリングを強化しよう…という発想です。
ちょっとしたパワーアップならこの方法で対応できるため、定番のような改造になりましたが、高出力用となると話が変わります。
単純にスプリングを強化すると低回転域でエアフロの開きが悪くなり、まともに制御できなくなってしまいます。さまざまなレートのスプリングを試し、エアフロ以外からのバイパス吸気を併用するなど、数々の試行錯誤を繰り返した結果、理想のセンサー信号を手に入れるに至ります。
次の問題はインジェクター。
今でこそ高性能なインジェクターは選び放題で、情報もネットで調べ放題ですが、当時は使って判断するしかないような時代。大容量化したインジェクターは「低回転域で微細な噴射…」が苦手で、まともに使用する事ができません。
さらに悪いことに、純正コンピューターはアイドリング領域の噴射量を絞ることができないため、大容量インジェクターに交換すると街乗りができなくなってしまいます。
ところが、そんな中で驚きの発見がありました。
さまざまなインジェクターを試している中で、「インジェクター容量と噴射特性が比例していない」ことに気が付きました。容量以外の要素、無効噴射時間の発見です。
これは要約するとインジェクターのレスポンス。同じ時間通電しても、電磁弁の開き始めが遅いインジェクターは噴射する量が少ないのです。
同じ大容量インジェクターでも、無効噴射時間が最も大きいインジェクターを調べ尽くし、ようやく発見した製品を使用したところ、その無効噴射時間の長さから街乗り領域での空燃比の帳尻が合い、普通に乗れるようになりました。
ここまでの話から理解できると思いますが、当時はMoTeC ECUのような便利な物はありません。手元にある物の組み合わせで、文字通り「帳尻を合わせる」という作業です。
今となっては「理解しやすい電子制御」を「力技でねじ伏せる」といった感がありますが、スマホどころかノートPCも存在しなかったアナログ時代です。そんな時代にエンジン制御と正面から向き合い、魅力的なチューニングカーを仕上げていた当時のエンジニア様には頭が下がります。
そんな1980年代末、MoTeC ECUはオーストラリアで誕生しました。
当時はまだノートPCを接続せず、マイナスドライバーで各調整ネジを回してセッティングするタイプでした。
by avo-motec
| 2022-04-02 14:13
| ブログ
|
Comments(0)


