2021年 06月 21日
点火時期とノッキング その2 |
プラグの着火で混合気が燃焼膨張して、ピストンを力強く押し下げる。この強い力でクランクシャフトを回転させるのがレシプロエンジンです。
「燃焼」というより「爆発」という表現の方が近いと感じる方も居るかもしれませんが、プラグを中心に徐々に燃え広がる「燃焼」です。
一瞬で全体がパッと燃えずに、徐々に燃え広がる混合気をイメージしてください。燃焼と同時に膨張も開始するので、混合気全体は膨張しつつ中心から外側に向かって燃焼していきます。
「膨張しつつ燃焼が広がる」
これが重要なキーワードです。
決してすべてが燃焼してから膨張しているのではありません。
前置きが長くなりましたが、「その1」のつづきです。
燃焼エネルギーをパワーに変換するためには、できるだけ上死点に近い圧縮が高い状態で燃焼させた方が良さそうですが、「上死点」は文字通りピストンの上昇が一瞬停止して、下降を始める場所です。ピストンの下降スピードは停止から徐々に速くなり、ストロークの半分を超えると減速して下死点で停止します。
できることなら速度が遅いタイミングで燃焼を完了させて、膨張エネルギーをフルに使って一気にピストンを下降させたいところですが、それがなかなか難しい。
高い圧縮状態で燃焼を開始した混合気は、どんどん膨張しつつ燃え広がっていきますが、上死点付近のピストンの下降スピードは、燃焼速度と比べると止まっているような状態です。
すると、燃焼膨張しているのにピストンが下がらないため、ただでさえ高い圧縮が超高圧縮状態に。それでも外側の混合気に向かって燃焼は広がり、未だ燃焼していない混合気(燃焼室の端)の圧縮比がどんどん高くなっていきます。
高すぎる圧縮の中では、燃焼スピードよりも膨張速度が上回るため、燃焼室の端の混合気は押しつけられて、ついに超高圧縮&超高温状態で自己着火。これがノッキングです。
ピストン外周部分で発生するノッキングは、通常の何倍もの圧縮比になっていることもあり、発生するエネルギーはピストンを一撃で破壊する場合もあります。
アイドリングの点火時期を意図的に進めると、簡単にカリカリとノッキング音を出すことができますが、これが点火時期を進めすぎている状態です。これが800psや1000psのノッキングともなれば、そこで発生するエネルギーは簡単にエンジンを全損してしまいます。
ピストンが勢いよく下降する前に燃焼圧力を最大にすれば、燃焼圧力を余すこと無く使ってピストンを押し下げることが出来る反面、早すぎればノッキングが発生してしまうことが理解できたと思います。
一般的なエンジンでノッキングが発生しやすいタイミングは、上死点後12度を中心に、10~50度の範囲と言われています。つまり、この範囲で燃焼圧力が最大になるように調整する際は注意しなければいけないということです。
このように説明すると、ノッキングしないギリギリのポイントこそ1番パワーが出る良い点火時期のような気がしてしまいますが、それは正しい反面、間違いでもあります。
次回は同じ点火時期でもノッキングが出る場合、出ない場合について解説します。
つづく。
by avo-motec
| 2021-06-21 16:29
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