2021年 05月 18日
MoTeC M1のクローズドループ制御 |
クランク角センサーでエンジン回転、スロットルセンサーでバタフライ開度を読んで、マップに入力されている数字通りに燃料を噴射。
これが基本だとすると、
水温センサーや水温センサー等が読んだ温度に応じて増量補正。
…は、フィードバックになるので、大枠では「クローズドループ制御」に含まれますが、MoTeCの解説でクローズドループと言う時には、アイドルコントロールやブーストコントロールのPID制御や、燃料のラムダ(空燃比)フィードバックを指します。
さて、肝心のラムダフィードバックですが…
空燃比センサーが排気ガス内の酸素濃度を検出する
↓
目標空燃比とズレを検知、ガソリン噴射量を変更して混合比を変える
↓
混合比を変更したガソリンが燃焼する
↓
変更した後の排気ガスが空燃比センサーを通過する。
という具合に、「センサーが違いを検知」してから「変更した内容を確認する」までに一定の時間が経過します。
エンジンの仕様、排気管の太さ、空燃比センサー取り付け位置で変わってきますが、アイドリング時に噴射量を変更すると、排ガスの数値が完全に入れ替わるのは2秒くらいと言われています。
となると、ECUは不足した分を足したり、多い分を減らしても、約2秒はその数値が正しいかどうか把握できないことになります。
さらに、濃くしたのに変化が無い、もっと噴射量を増やさなければ…と、ECUが考えてた場合には、3秒後に濃すぎるほどの数値になってしまいます。
空燃比に合わせてしっかりとセッティングした燃料マップをベースにしていれば、そこから一部分だけ極端に濃くなったり薄くなったりする事態は、基本的に起きません。
このため、補正量は燃料マップから上下僅か数%程度となります。
ここまでが既存ECUの常識
これに対して、MoTeC M1は基本的に考え方自体が異なります。
燃料噴射マップという物が存在しなM1のプログラムでは 指定した空燃比になるようにM1自体が空燃比を監視しつつ燃料噴射量をコントロールします。
M1の場合リアルタイム制御になるため、センシングしてから噴射量を変更し、変更した噴射を認識するまでのタイムラグも、しっかりとM1自体に認識させる必要があります。
この、補正ではなくリアルタイムのラムダ制御が凄い所は、実際にフルコンを使い慣れたエンジニア様やチューナー様が口を揃える
「設定入れてクランキングしただけで火が入った!」
という部分です。
フルコンを付けて最初の設定というのは、燃料噴射量や点火時期を地道に合わせつつクランキングし、初爆が来るポイントを見つけたら、さらにそこで噴射量を増やして…と、火を入れるまでの「儀式」に神経を使います。ベースデータがあれば楽ですが、無い場合にはイチからの手探りです。
どのくらい大変かといえば…
混合気が燃焼して排気ガスにならなければ、空燃比センサーは正しい信号を出しません。つまり、まだ火が入っていないエンジンの初期設定では、どのくらいの噴射量が適正な空燃比なのか判らないのです。
フルコンの燃料設定画面に入力するのは「噴射量」ですが、最適な空燃比が判らない状態では、そこに入力した数字が濃いのか薄いのか、適正に近いのか大きく外れているのかが一切判りません。下手に濃くし過ぎればプラグがカブってしまいますが、勘所が判らない状態では「調整が悪くて始動しないのか、カブっているから始動しないのか」すら判らないのです。
ところがMoTeC M1は、繋いでセルを回したら一発で火が入ってアイドリングを始めてしまうのだから恐れ入ります。入力した初期設定からM1が最適に近い噴射量を計算してくれるからです。
つまり、「このエンジンに対して、吸気温度と水温がこのくらいだと、始動時に必要なガソリン噴射量はこれくらい。付いているインジェクターにどれくらい通電するとどれだけのガソリンが出るかは判るから、ピタリと合うように噴射」…というような事を、M1がすべてやってくれるのです。
もちろん「アイドリングが安定していて、アクセルを踏めば軽くフケ上がる」なんてことはありません。そこには現車合わせのセッティングが不可欠となりますが、一番大変とも言える部分を自動でやってくれるだけに、大幅な進歩と言えます。
この「最適な噴射量を計算して、いとも簡単にエンジンを始動する」レベルで全体を把握しているM1だからこそ…と言える機能ですが、先述した「ECUは不足した分を足したり、多い分を減らしても、約2秒はその数値が正しいかどうか把握できない」という部分も、2秒後の結果を見ずとも「正確に結果を予測した最適な噴射をM1がやれる」ので、いちいちラムダセンサーの数字が変化してから判断する既存のECUとは比較にならない、圧倒的に早い制御が可能なのです。
同じクローズドループ制御でも、変更後の確認が不要なレベルの先読み制御をおこなうMoTeC M1ならば、最高の出力を追求した現車セッティングと同じ性能を、あらゆるシチュエーションで正確に再現することが可能です。
なめらかな乗り味や、驚くほどのパフォーマンスを体感できる秘密は、まさにM1だからこそなのです。
by avo-motec
| 2021-05-18 16:05
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