2021年 05月 08日
◆空燃比センサー その1 |
空燃比センサーは、排気管に取り付けてガソリンと空気の混合比を計測するセンサーです。
ガソリンと空気の理想空燃比は14.7:1…というのが有名ですが、それを計測するのが空燃比センサーの役割です。
面白いのは「エンジンに吸入させたいガソリンと空気の比率」なのに、吸気側ではなく排気ガスで計測している部分です。
MoTeCに限らずEFIの制御コンピューターは、エンジンが吸入する空気量をエアフロメーターや圧力センサーで計測しています。吸入する空気量を把握しているならば、合わせたい空燃比になるようにガソリンの量を自分で調節して噴射するだけで、設定したい空燃比に自動調整できそうですよね。
でも残念ながら、簡単には出来ません。
吸入する空気14.7に対して燃料を1噴射しても、実際には理想空燃比にならないのです。
まず第一に、吸入する空気に対して、インジェクターが噴射するガソリンが完全に気化して均一に混合することが非常に難しいばかりか、エンジンの温度や吸気温度、回転数などの状況に応じて、ガソリンの気化や混合状況は大きく変化します。
つまり、ガソリンの霧が空気と高速で撹拌されても、完全に気化せず粒子のまま未燃焼で排気ガスになるガソリンが存在する以上、目標とする空燃比分の燃料を噴射しても、理想とは程遠い混合比にしかならないのです。
最初に空燃比のことを「エンジンに吸入させたいガソリンと空気の比率」と書きましたが、言葉遊びの範疇かも知れませんが、正確には「エンジンで燃焼させたいガソリンと空気の比率」こそが空燃比です。
シリンダー内で発生するスワール流やタンブル流のような渦による混合、スキッシュエリアに押し出されて燃焼室内で発生する渦流、そして燃焼室内の混合気温度。ガソリンと空気の混合は燃焼する瞬間まで続き、回転数ごとにポートから燃焼室に流れ込む速度や渦の速度が異なるため、同じ量のガソリンを噴射していたとしても、実際に燃焼する瞬間の空燃比はまちまちなのです。
以上の理由から、燃焼時の混合気の空燃比は排気ガスに残る酸素濃度からしか判断することが出来ないことが理解できたと思います。
この空燃比センサーの数字を元にして、負荷や回転数に応じたガソリンを噴射するように設定するのが、ECUの現車セッティングです。
MoTeC M4の時代から、M84やM800に至るまで、この空燃比センサーで計測した数値を元に構築した燃料噴射マップをベースに、数々の補正を加えた制御をおこなってきました。
ガソリンと空気がどのように混合され、どのように燃焼しているかを予測するのではなく(まったく予想しないわけではありませんが)、あくまで燃焼が終わった結果としての「排気ガスの空燃比」を元に、各領域のガソリン噴射量が最適になるようにセッティングするのです。
これが従来のエンジン制御における一般的な考え方です。
もちろんこれで終わりではなく、常に吸気温度、水温、アクセル開度、サージタンク圧力等をセンサーで監視しつつ、これらの変動に応じた補正をリアルタイムで掛けています。
そしてMoTeC M1は「このような制御方法ではありません」。
その2につづく
by avo-motec
| 2021-05-08 13:56
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