電気をナメてはいけません その2 |
弊社Milspecワイヤーを含め、電気配線の芯線に使用されている素材は銅です。
銅は導電性に優れた金属であり、自動車の電気配線として使用する(最長でも10m以下)ことを考えれば、最良の素材と言えます。
ただし、銅にはとても大きなデメリットが2つあり、使用に際してはその2つを克服する必要があります。
・デメリット1 銅は重い
自動車の高性能化には軽量化が不可欠であり、設計を煮詰めた軽量化だけではなく、鉄よりもアルミ、アルミよりもジュラルミン、ジュラルミンよりもカーボンと、軽量素材を使用することで剛性を落とさずに軽量化が追求され続けています。
そんな現実の中、銅はアルミどころか鉄よりも重い金属。自動車の高性能化に際し、むしろ選択しない方が良さそうな素材です。
・デメリット2 表面が酸化しやすい
銅は空気と接触する面に酸化膜が生成されます。新品と古い10円玉を比較すると、輝きどころか色すら違うレベルですが、古い10円玉の濃い色こそ、銅の表面に生成された酸化膜です。
銅は導電性に優れると書きましたが、表面に生成される酸化膜は「絶縁体」。電気を通さないのです。つまり、接点部分の色が濃くなっている配線は、導線としての役割を果たしていない状態なのです。
このようなデメリットがあるにも関わらず、それでもなお銅が使用される理由は、優秀な導電性とコストに因るところが大きいのですが、銅を使用することで車重が増してしまっては本末転倒。そこで、自動車で使用する際には、徹底的に使う電気の使用量が計算され、各所に必要最小限の太さの配線が使用されます。現代の自動車に関して言えば、無駄に太い配線は1本もありません。
また、酸化膜の問題は、酸化膜が生成されるよりも前に確実に加締め、確実に結線することで対処します。確実な加締めにより密着した部分は、空気と遮断されることで酸化膜が生成されないからです。
画像を見てください。
これはVirage development様から御提供を頂いた、某スーパーカーに起きていた事例です。弊社でも色々な事例を目にしますが、「超」が付くスーパーカーの「大変貴重な画像」なので、御厚意で提供して頂きました。
他にも書き切れないほどに理由がありますが、高熱化した純正配線は被服が溶け落ち、コネクターも溶けて膨らんでいる箇所があります。
古いスーパーカーが燃える理由の一端を御理解いただけましたでしょうか。
もちろん車両火災にはオイル漏れやガソリン漏れが原因の場合もありますし、それらと配線トラブルが組み合わさった事例もありますが、なぜ配線トラブルによる車両火災が一番多いかといえば、トラブルが発生するまで放ったらかしだからです。
エンジンが以前よりもスムーズに回らなかったり異音が発生した場合、オイル交換などのメンテナンスをしたり、それでも改善しなければオーバーホールを考えると思います。それに対して、ヘッドライトが暗く感じてHIDやLEDに交換しようと考える人は多いと思いますが、暗くなった原因を追及して配線や接点を調べる人がどれほどいるでしょう。
これらの画像がどれほど貴重かと言えば、本来であれば車両火災で焼失している筈が、偶然燃えなかった貴重なサンプルだからです。
被服が溶けて芯線が露出している部分は幸いにもショートしておらず、緑青が発生するほどに表面が酸化しているのが画像からも解ります。
酸化した芯線の表面は電気抵抗の塊となり、芯線の導電性能を著しく悪化させます。イメージとしては、銅線の中をスムーズに流れるはずの電気が、360度周囲から引っ張られてしまい、気持ちよく流れない状況です。始末が悪いのは、この部分すべてで熱が発生し、さらに火災のリスクが増してしまうことです。
この先で何が起きているのか、どうしてこのような状態になっているのかを突き止め解決しなければ、ここだけ配線を交換してもまた再発します。次こそ燃えてしまうかもしれません。
弊社では、被服の高温耐性が高いMilspecワイヤーを販売していますが、これを使ったところで原因を解決しなければ結果は同じです。
元々デリケートな配線が劣化することでトラブルが発生したとしても、そこにエレクトロタップを使用することでとどめを刺した場合でも、こうなってしまうのは電気配線に気を配らなかった人災です。
画像のような状況は、人体に例えれば末期癌です。弊社では高度先進医療に必要な機器を御用意しております。ご気分の悪い方は問診させて頂きますので、御相談をお待ちしております。
画像提供:
Virage development website
http://virage.co.jp/
Virage development facebook
https://www.facebook.com/Virage-development-499974016728158/?eid=ARBw0j7qyBy29ROSDz-96k4dNqUXDoadY5vXWZBF08HllIqowkFMWXOR3vV0ADdZqzZgiq7ZaGZj-b62&timeline_context_item_type=intro_card_work&timeline_context_item_source=100005488300626
電気をナメてはいけません その1
https://motec.exblog.jp/29505210/
ECUにつながる配線を把握しなければ

