誰も語らないけどマセラティはエンジンが超凄い その1 |
マセラティといえば、戦前からある自動車メーカー。
第一次スーパーカーブーム世代の方なら、メラクやギブリという車名を覚えていると思います。
そして、バブル期にブームとなった、世界初の「ツインターボエンジン搭載量産車」ビトルボをはじめとする、一連のツインターボ時代。
そして、超高級サルーンとなった現代。
ザックリとスーパーカー時代、ツインターボ時代、現代と、3つに括ってしまいましたが、これらは同じメーカーが製造しているとは思えないほど個性が異なるように見えると思います。
しかし、誰も知らない(?)ところに「ザ・マセラティ」たる共通の部分があるのです。

ビトルボ系マセラティを特集した雑誌記事などでは、マセラティといえば「金時計」「エロい本革内装」「豪快な加速」あたりは、必ずといっていいほど紹介されています。
逆に言えば、その程度しか褒めるところが無いクルマのように思えてしまいます。
スポーツカーの評価なのに内装?時計? エロとかそういうのは見た人の主観に任せればいい話ですよね。
上っ面な部分ばかりしか紹介されないので、快速デートカー屋か? と勘違いしている方も多いと思いますが、それは大きな間違いです。
しかし、
マセラティには、12気筒ミドシップを製造していたランボルギーニやフェラーリのような、スーパーカーメーカーとしての突き抜けたハイエンド感はありません。
何度もル・マンで優勝を飾ると共に、ストリートでも速さを確立してきたポルシェのような速さのイメージもありません。
このような事実もあるため、
「ただ何となく、内装に特徴があって壊れやすそうなイタリア車。」
「実際に速いのか遅いのかは、よく判らない。」
「格がある高級GTメーカーのひとつ?」
世間のマセラティに対する評価は、こんな感じだと思います。
なぜ、スーパーカーのメーカーなのか。
なぜ、ヨーロッパで一目置かれているのか。
なぜ、親会社が転々しても存続し続けているのか。
実は、
世界が一目置く凄い技術で作られているのです。
誰もそれを紹介しないので、ここでバラしてしまいますが、
マセラティの素晴らしさ、それはエンジン設計にあります。
フェラーリV8が「シングルプレーン クランク」を使うことで、振動や耐久性と引き替えにパワーとサウンドの良さを売りにしていることは、今や知っている方も多いと思います。レーシングマシンと同様の設計であることがメーカーのコダワリであり、「これぞフェラーリ」と言われる部分のひとつ。
マセラティのエンジンにも、同じような一貫した「ザ・マセラティ」なコダワリがあるのです。
時は1950年代。
アメリカンV8が排気量の拡大路線でトルクとパワーを追求したのに対し、ヨーロッパの自動車メーカーは、競ってエンジンのハイテク化を追求していました。
ここで言うハイテク化とは、当時レース専用と考えられていた「DOHC」や、「アルミヘッド」「アルミシリンダー」のことを指します。
マセラティも例に漏れず、アルミヘッド、アルミシリンダーエンジンの設計・製造を開始。しかし、アルミは耐久性どころか最低限の剛性を確保するのも困難でした。
これを打開すべく考え出されたのが、「半割れシリンダーのような鋳造アルミ製オイルパン」を接合する、シリンダーカバー構造です。
従来のエンジンは、シリンダーブロックの下にオイルパンを貼り付ける構造ですが、マセラティのエンジンはオイルパンもエンジン下面の剛性パーツとして設計されています。クランクキャップは剛性を確保するため大型となり、キャップ1個あたり4本のボルトで固定。弊社で確認した限りでは、マセラティは1950年代からこの設計を始めています。
さらにマセラティは、1970年代初頭にシトロエンと共同開発したエンジンを、新型車メラクに搭載。これこそ、「半割れシリンダーのような鋳造アルミ製オイルパン」とクランクキャップを一体化した、超剛性クランクカバーの完成形です。


これがメラクのエンジンです。
このエンジン設計がどれほど凄いのかというと、1978年にポルシェが発表した928に採用されたのを始め、フェラーリも430スクーデリア以降のV8エンジンに採用(マセラティが設計)。
以下のリンク先で、ポルシェ928のオールアルミエンジンが見れます。
http://dragonsplaza.com/shark.html
そして、国産最強、いや世界最強のV6エンジンといわれる日産R35GTRのVR38にも採用されています。
R35GTRのデビューは2007年で、メラクのデビューは1972年。つまり、R35GTRより35年も前からこの設計だったということなのです。
世界の名だたるスポーツカーに採用されるハイエンドエンジンの多くに、先進的なマセラティの設計が息づいていることが御理解いただけたでしょうか。マセラティは単に歴史が古いメーカーではなく、世界のライバルが未だ真似をしてでも採用したがる、究極のレシプロエンジン設計技術を持つ企業なのです。
ちなみに日本でこの設計のエンジンを初採用したのは、マツダ・ユーノス800などに搭載された、K型エンジン(ポルシェ設計)だったと記憶しています。
つづく
その2:http://motec.exblog.jp/27073294/
その3:http://motec.exblog.jp/27079077/
その4:https://motec.exblog.jp/28410660/

