キャブからインジェクション制御 その1 |
キャブレター付きエンジンをインジェクション化する際、単純なパーツ交換やECUの追加だけでは済みません。
最も重要になる部分が他にあります。
それはシビアさ。
例えば、ソレックスやウェーバーなどを3連装したL型エンジン。
各気筒のスロットルと燃料供給が独立しています。
スロットルの同調が取れていない場合、アクセルペダルを踏むと、それぞれのスロットルはバラバラに開き始めます。
キャブレターは各気筒それぞれ独立して、バタフライが開く→空気が流れる→空気の流れにガソリンが吸い出される。
という燃料供給方式なので、バタフライの同調が取れていない場合でも、気筒ごとに空燃比の差異は発生しません。
ところが、6連スロットル+インジェクション化した場合、この部分には非常に大きな問題が発生してしまいます。
インジェクターは、スロットル開度やインマニの圧力をセンサーが感知して、適切な燃料を噴射します。
スロットルセンサーが5%開いたと認識すれば、5%のスロットル開度で設定された燃料が、全気筒噴射されます。
ここでスロットルの同調がバラバラだと、10%開いている気筒は燃料が薄く、1%しか開いていない気筒はカブり気味になってしまいます。
キャブレターには、精密に調整しなくても「あいまい」「雑」「適当」を許容してくれる側面があります。
(当然、高性能を追求する場合には要求精度も高くなります)
対するデジタル制御は、ノーマルだろうとフルチューンだろうと、ハードウェアが精密であることが大前提。
当たり前過ぎて気が付きにくいですが、現代のエンジンは長年雑に乗っても極端な誤差が生まれないレベルの精密さで仕上げられています。
特に、センサー信号と実際の乖離が少ないのが特徴です。
MoTeC ECUは、センサーで読み取った情報を元に、正確にリアルタイムでエンジン制御をおこないます。
「センサー信号に対して正確無比な制御。」
センサー信号と実際のエンジンシステムとの間に誤差があれば、正しく動くことは無く、ガクついたりカブり気味になってしまいます。
6連スロットル等を組む際は、組み付けの時点で各バタフライの同調を取ることが大前提となりますが、組み付け後も「すぐに同調がズレない」「長期的に同調を維持する製品」を選択することが重要です。
ちなみに画像はスクエア様のハコスカGC10。
エンジンはL28ノーマルで、スロットルはTWM製。
TWMは一度合わせた同調がズレにくいのが特徴です。