水温センサー |
MoTeCなどのECUは、水温をエンジン温度として認識します。つまり、エンジンの温度を監視するために、水温センサーを装着する必要があるのです。

ECUは水温を監視して何をしているのか。
まず、重要なのは冷間始動。冷え切ったエンジンと、暖気が終わっているエンジンでは、エンジンの温度が大きく異なります。
高い温度のエンジンは噴射した燃料が蒸発しやすい=吸入空気と混ざりやすい。
これに対して
低い温度のエンジンは噴射した燃料が蒸発しにくい=吸入空気と混ざりにくい。
空気と混ざらなかった燃料は、そのまま燃焼せずに排出されます。つまり、高い温度の状態と「同じ量の燃料」を噴射しても、混ざらずに無駄になる分が出てしまう=無駄が出た分だけ混合気は薄くなってしまうのです。
混合気を適正な濃さに戻すには、より多くの燃料を噴射する必要がありますが、エンジンの温度が低い状態では「多く噴射した分にも空気と混ざらず無駄になる」分が発生します。
このため、適正な空燃比を求めて帳尻を合わせるためには、無駄を承知で「かなり多くの燃料を噴射する」必要があるのです。
水温センサーでエンジンの温度を把握しECUの水温補正という項目を使用することで、エンジン温度が低い状態でも、エンストせずにアイドリングするのです。
では逆に、水温が適性を超えて100度近くまで上昇した場合。
エンジン温度が上昇すれば、その分だけ燃料が蒸発しやすくなるから、より燃料を薄くするべきなのか。
答えは逆で、水温の上昇と共に、より濃い方向に設定することの方が多いです。
水温上昇を無視して性能を持続させても、待っているのはトラブルです。むしろドライバーに水温上昇を気付かせて、アクセルから足を離してもらうべきだと考えます。
このように、水温を通してエンジン温度を把握することは、始動性や暖気時の安定性、トラブルを未然に防ぐ安全性に役立ちます。
写真はMoTeC純正の水温センサーと、金メッキピンの専用コネクターです。
水が漏れたらダメな場所ですが、水回りだけにピンの腐食がセンサー信号の信頼性を低下させる可能性があるため、金メッキピンを推奨しています。