誰も語らないけどマセラティはエンジンが超凄い その2 |
内容がマセラティ愛に溢れすぎて偏っているような気がする場合は、そのままマセラティを中心に全自動車業界が踊らされているのでは…などと想像してみてください。そんなことはありませんが。
前回、マセラティのエンジン設計の紹介と共に、メラクのシリンダーブロックの画像を紹介しました。
今回のエンジンの画像はビトルボです(この画像のさらに下に、アルミ鋳物のオイルパンを装着する構造です)。
初代はキャブでしたが、マイナーチェンジで車名が「222」になった頃に、インジェクション制御となりました。その後、ギブリIIやクアトロポルテに移行し、排気量と共に左右バンク独立制御になるなど、エンジンの基本設計は同じまま、制御がどんどん進化し、よりトルクとパワーが引き出されるようになっていきました。
ビトルボ時代、マセラティの親会社はデ・トマソでしたが、モデル後半はフィアット、フェラーリと親会社が移り、現在は再度フィアットが親会社となっています。
この間、親会社が変わるたびに「エンジンは親会社のクルマと共用」という記事が適当に書かれ続け、あたかもマセラティには別のメーカーのエンジンしか搭載されていないようなレッテル貼りがおこなわれてきましたが、それは大きな間違いです。
クアトロポルテやクーペにフェラーリのF430スクーデリアのエンジンが搭載されている。という記事があれば、普通はフェラーリのエンジンを載せていると思われても仕方ありませんが、それはマセラティ オーナーに言わせれば風評被害。
真実は、マセラティがエンジン設計をおこない、フェラーリの工場で生産されたエンジンを搭載しているのです。
マセラティ オーナーの視点から見れば、「マセラティの工場で内製」か「新興の下請工場」か程度の差があるだけで、見まごうことなきマセラティのエンジンです。
ちなみに、前回みっちり説明した「一体式クランクカバー構造」ですが、フェラーリは2000年代初頭にF430スクーデリアでようやく採用…と説明しましたが、ライバルのランボルギーニは? と、調べてみたところ、こちらが結構面白い。
ランボルギーニは70年代に発売したV8モデルのウラッコに、早々と採用。V12モデルは、カウンタックのロングセールが災いして進化が遅れましたが、1990年デビューのディアブロで初採用。それ以降のV10を含む、すべてのエンジンに採用しています。
モデルチェンジサイクルの早いフェラーリの方が進化も早そうに思えますが、エンジン設計の根っこの部分は、ランボルギーニの方が30年ほど先んじていました。
この画像が現行V6(のパーツカタログの図)です。
ビトルボ同様のクランクカバー一体構造の設計に「ザ・マセラティ」のこだわりを感じてしまいます。
つづく