すごいポルシェ911 |
89年式ポルシェ911ターボですが、驚異的なマシンです!
当時アメリカに出張していた元のオーナー様が、現地で新車購入。
RUFの米国正規代理店でフルチューンした後に車輌と共に帰国し、現在のオーナー様がコンディションを維持して乗られているそうです。
元々のエンジン制御は他社製ECUでしたが、問題があったようで…
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燃料系にトラブル発生
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燃料制御だけMoTeC M800
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点火系にもトラブル発生
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点火制御もMoTeC M800
という手順で、フルMoTeC制御になった車輌です。
それも、M800が登場したばかりの頃に取り付けた物なので、かなり昔です。
電装系のトラブルで、オルタネーターから17Vくらいの電流が出てしまい、タコメーターが故障。
タコメーターを修理したものの、なにか「別の原因」で、どうしても動かないそうです。
「別の原因」を調べてみたところ、タコメーターは他社製ECUに接続してありました。
他社製ECUには、センサー信号が入力されているものの、すでにエンジンは完全にMoTeC側で制御してあります。
このため、タコメーターの配線をM800のアウトプットに接続。これで解決です。
今回の作業、まず最初に「MoTeC側のトラブルかな?」と、M800にパソコンを接続したのですが、なんとビックリ、M800がフルオプション!
911は6気筒なのに、12気筒シーケンシャル制御???
シングルターボなのにツインラムダ???
…と、エンジンルームを覗いてみると、6連スロットル+12本インジェクション制御!
インタークーラーから、左右独立のコレクタータンクにパイプレイアウトしてあり、ツインラムダで左右バンクのバランスを監視!
思わず納得、かなりカッコイイです。
ツインインジェクターは、各気筒のインマニに2本ずつインジェクターを取り付ける制御です。
6気筒なので、合計12本のインジェクターが装着されています。
この12本のインジェクターを、それぞれ独立したタイミングで噴射させる個別制御のために、12気筒シーケンシャルオプションが必要だったのです。
低出力時に1本、高出力時に2本のインジェクターを噴射できるのですが、こうすることで低出力時の霧化が良好なインジェクターを選択できることや、高出力時の噴射量に余裕を持たせることができます。
高出力時の噴射量に余裕があると、「全噴射」にしなくて良くなります。
全噴射とは、バルブが開いている時も閉じている時も関係なく、ずーっと噴射しっぱなしの状態を指します。
求める出力に対して燃料が足りていれば、パワーは発生します。
しかし、全噴射というのは、インジェクターの制御範囲を超えた使用法です。何しろ「これ以上出ない」ので、ここから補正を入れて燃料を増量することも、当然できません。
燃料噴射タイミングを、バルブが開いた瞬間に合わせるセッティングも、噴射量に余裕がある場合は、より高回転まで設定可能です(全噴射になると、まったく意味がなくなるため)。
ちなみに、この制御はイエローバードことRUF CTRを含め、当時のRUF車では定番。
この車輌がRUFの正規代理店で作業しているという、紛れもない証拠です。
さらに、希少なRUF6速MTも入っているなど、さまざまな驚きが詰まっていました!