993カレラ2 スーパーチャージャー その5 |
主催のロッキーオート様をはじめ、スタッフの皆様、シャーシダイナモのサクラダイノシステム様など、会う人みなに「あれ、大人しいクルマだね、いつもの黄色いスープラは?」と聞かれてしまいました(笑)
スープラは弊社とメタルワークショップM様の共同開発車輌です。
弊社視点ではメタノール燃料を使用した高出力セッティングの試験車輌という位置付けなのです。
現在、1300psを計測した「超絶BIGタービン」を外して、自爆できそうな「激烈BIGタービン」に換装するため、エンジンが降りています。
実は今回出展する993、セッティングの最終確認を兼ねて、オーナー様に許可を頂いて自走で埼玉=名古屋を往復したのですが、ルーツ式スーパーチャージャーの素晴らしさを再確認しました。
ブースト計付きのターボ車に乗った経験のある方なら判ると思いますが、高速道路の巡航では、、、
・アクセルちょい踏み高速巡航→ブーストは負圧
・ちょっと踏み込む→0ブーストでスルスル増速
・さらに踏み込む→過給が掛かって本格的に加速
このような感じだと思います。
仕様によって差がありますが、「ブーストを掛けよう」「加速しよう」と意識して踏み込むことで、過給と共にトルク感を感じるのがターボです。
対するルーツブロワーは、、、
・アクセルちょい踏み高速巡航→ブーストは負圧
・ちょっと踏み込む→グワッと加速!
・さらに踏み込む→ドカンと加速!
ターボと違い、軽くアクセルを踏んだだけでも右足と直結するトルクレスポンスを感じます。まさに「大排気量エンジンに載せ替えたようなフィーリング」。
ターボとは違う面白さです。
「SCは低中速だけ。高回転はターボですよね」
確かにその通りですが、それは高回転で気持ちの良いターボを組んだ場合の話です。
低中速域を重視した純正ターボは高回転の伸びが悪いため、ターボだから高回転が必ず有利な訳ではありません。
前置きが長くなりましたが、いよいよ本題。
御客様の993は、従来のM800系ECUではなく、最新のM1系で制御しました。
従来モデル比8倍の処理速度は伊達ではなく、驚くほどなめらかな仕上がりです。純正を超えた純正フィーリングという表現が当てはまるほど、あらゆる制御に隔世の感があります。
ただし、従来モデルを超える仕上がりを実現するには、従来の8倍の知識と理解力と膨大な設定が必要…な部分もあります(汗)
M1については、追って紹介させて頂きます。
セッティングの結果は、383.7ps/43.3kg-m。
セッティング前の332.7ps/38.6kg-mと比較して、51ps/4.7kg-mアップ。
これがセッティング前後のパワーの比較です。
緑がセッティング前、赤がセッティング後。
低速域だけではなく、高回転の伸びが改善されているのが判ると思います。
こちらがトルクの比較。
1000rpmから段違いのトルクが出ているため、ひとつ上のギアで走行しても以前と同じ加速感があります。
そして、全開加速をすると、以前は「上の伸びが悪いのはスーパーチャージャーだからかな…」と感じていましたが、レブリミットまで引っ張るのが楽しいエンジンに生まれ変わりました。
注目は最大パワーではなく低速トルクです。
「383.7ps/43.3kg-m」という数字は、現代のポルシェと比較しても飛び抜けた凄さを感じません。しかし、高速道路では6速1000rpm巡航と、そこからアクセルを踏み込むと即加速を開始する極低速トルクで、本当に乗りやすいです。
全開加速をすると、高回転までタレ感がないため、レブリミットまで引っ張りたくなる「持続する加速」が味わえると共に、排気サウンドはNAのままというオマケ付き。
これは本当に気持ちが良いです。
そして、純正タコメーターの位置に、カラーディスプレイロガーC125をマウント。
タコメーターを外して、同型状のステーをアルミ削り出しで製作。そこにディスプレイを固定してあります。
ステアリング越しに見やすいのはもちろん、いつでも純正タコメーターに戻せます。
数回に分けて紹介してきたルーツブロワー式スーパーチャージャー+水冷インタークーラー仕様ですが、最大パワーよりも微細なアクセルのツキを追求するチューニングなので、MoTeC ECUの性能がハッキリと体感できる仕上がりになりました。
最大パワーよりも常用域の面白さを追求するなら、ルーツブロワーは有効なチューニングパーツです。そして、取り付け場所を選ばないという意味で、水冷インタークーラーは今後増えてくると思います。
どちらも海外からイージーに入手できるので、他人とは違う面白い仕様が作れるかも知れません。
制御でお困りの際は、是非お声をお掛けください!