993RS3.8改3.6ツインターボ |
RSの3800ccNAエンジン(ノーマル300ps)から、993ターボの3.6ツインターボエンジン(ノーマル408ps)に換装してあります。
過去にM84でエンジン制御していましたが、今回はECUをM800にステップアップしました。
M800に変更した理由は、SKMスタンドアローンノックモジュールを追加するためです。
ノックモジュールを追加したM800は、各気筒のノッキングを個別に認識します。そして、ノッキングが発生した気筒だけ、自動的に点火時期をリタードします。
(M800の右下にある黒い箱がSKMです)
一般的なノック補正は、ノッキングを関知すると全気筒の点火時期がリタードするため、ガクンと遅くなります。
これに対して、ノックの出た気筒だけを遅らせると、むしろパワーアップさせることが可能になります。
一般的なエンジンは、各気筒の吸気の流れや冷却が均一ではなく、「ノッキングが出やすい気筒」が存在します。
この気筒がノックしないように点火時期を設定すると、他の気筒は余力があってもパワーを出せなくなるのです。
例えば点火時期25度で1番シリンダーにノックが出たとしても、1番だけリタードさせることで、他の気筒は30度まで点火を進められる可能性があるとします。
リタードした1番は出力が伸びないため、足を引っ張ってしまいますが、他の気筒は不可能だった点火時期が可能となり、出力アップが期待できます。
ここで、大して点火時期が進められなければ意味がありませんが、差し引きで+20~30psのパワーアップが望めるのであれば、レースでは強い武器となります。
これがノック制御の絶大な力です。
この他にも、セッティングの現場で点火時期を詰める際に使用したり、各気筒ごとのノック特性を分析して、次のエンジン製作にフィードバックする際に役立ちます。
ちなみに、セッティングの結果はブースト0.9キロで520ps。
タービンの組み合わせ次第で、まだまだ戦闘力が上がりそうな感触です!