ポルシェ996カップカー |
なぜ、そんなフィーリングなのか。
それはストイックなレース車輌なので、その領域を「扱いやすくする必要がない」と判断しているのでしょう。
始動が困難だったりアイドリングが安定しない理由は、アイドルコントロールバルブが付いていないためです。低回転域での走行がギクシャクするのは、その領域での使用が想定外だからです。
「サーキットに到着してからの性能」をスポイルさせずに、始動、暖機、低速走行という「サーキットに行くまでの領域」を、もっと扱えるようにして欲しいというオーダーを頂きました。
作業の内容は、アイドルコントロールバルブの追加と、MoTeC M84でのエンジン制御です。
オーナー様の第一声は、「もっと早くやれば良かった」でした。
40km/h以下でトロトロ移動する領域が劇的に「普通に走れるようになった」という部分が、特に気に入って頂けたようです。
それ以外の部分では、ノーマルは高回転で急にグワッと立ち上がる部分があるのですが、低中速域が改善されたことで、その段付きがなくなり「普通のGT3のように加速するようになった」と、コメントして頂きました。
こちらがセッティング後のデータです。
マフラーに排気音を抑えるバルブが付いていたので、バルブを閉じた状態のパワーも計測したところ、高回転域の出力が大きく低下してしまいました。
街中での移動では、このバルブを閉じて頂き、全開走行の際はバルブを開いて走る。という使い方を推奨します。
両方のパワーを比較してみました。
顕著ではありませんが、低中回転域もパワーダウンしていました。
ここでセッティングの第一段階は終了です。
いろいろなシチュエーションでオーナー様に乗って頂き、気になった点や希望を伝えて頂いた上で、セッティングを詰めさせて頂きます。