フェラーリ308クアトロバルボーレ その1 |
常にトラブルの不安を抱えた状態らしく「安心して乗りたい」「トラブルの不安を払拭したい」とのことで、弊社に来てくださいました。
どんなに名のある名車でも、どんなに耐久性を評価されたエンジンでも、時が経てば消耗部品以外の部分も経年劣化が進みます。
常に新品の部品を入手してリフレッシュを繰り返すことができれば、新車に近い状態で維持できると思います。
完全オリジナルな状態というのは、自動車史、工業史的な価値も高いと思います。
ただし、「できることなら毎週でも毎日でも乗りたい」と考えた場合はどうでしょう。
定期交換が必要な純正パーツが、5000kmごと、10000kmごと、20000kmごとなど、複数ある場合、お金にも時間にも余裕があるなら、早め早めに次々とリフレッシュできます。
ところが、とりあえず走るから「まだ大丈夫だろう」を繰り返すと、気が付けば「直した先から他の場所が調子悪くなり…」の繰り返しになってしまいます。
常に不安を抱えた状態になると、安心して遠出ができなくなってしまい、次第に乗らなくなる。
すると、クラッチが貼り付いたり、ガソリンが腐食してKジェトロを壊したり…と、乗らなければ乗らないで不調が増えていき、不動車になってしまうのです。
「完全オリジナルのショールーム展示車」ではなく、「できれば毎日乗りたい」と考えた場合、色々な場所を現代化するのが理想だと考えます。
設計当時に最高と考えられていた素材や設計でも、今はその数倍良い物もあります。
例えばオルタネーターが壊れた場合、当時物の新品に交換するよりも、安くて高性能の日本製を、少々の加工で付けた方が長持ちします。
このように考えると、さまざまなな場所に現代化した方が良い部品があり、一気に交換せずとも、少しずつ現代化することで不安箇所を減らしていくことができます。
今回弊社が担当させていただく作業は、Kジェトロニックから電子制御インジェクション化する部分です。
Kジェトロは良く考えられたシステムですが、現代の視点で見ると、エンジンのレスポンスを楽しむスポーツカー向きの制御ではありません。
乗らずに放置してしまうと、それだけで内部に致命的なダメージが発生する危険もあるため、乗る機会が少ないクルマにも向きません。
燃費、安定性、レスポンス、サウンド、メンテナンスのすべての面で、従来とは違う良さを感じて頂くために、数回に渡って作業を紹介させて頂きます。