MoTeC M1シリーズ |
どのくらい違うかと言うと、M800を完全に使いこなせる人でも途方に暮れるレベル。完全にアーキテクチャが異なります。
現在、フルコンの世界には、単純明快に使えるECUが増えてきています。そんな流れの中で、なぜM1は難解なのか。
それは、これまでの20年に製造されたクルマではなく、今後20年に製造されるクルマに対応するためです。
現代の純正ECUは、エアコンやインパネ、ABS、オートマなどを制御する複数のコンピューターと、CANという車内ネットワークでリンクしています。
例えば、ドライバーが急ブレーキを踏んだ際、ABSが車速とブレーキ踏力を判断して減速するだけではなく、オートマが速度とエンジン回転を判断して適切にシフトダウンします。
このように、各コンピューターがセンサーの情報をネットワークで共有しつつ、バランス良くクルマを制御しているのです。
当然ECUは、エンジンの燃料噴射や点火時期を制御するだけではなく、各種センサーからの情報をネットワークに送ったり、ネットワークから必要な情報を収集します。
このECUを外してフルコンに交換する場合、当然ながら、フルコンがネットワーク情報を共有する必要があります。
このネットワーク情報を無視して、「燃料と点火だけ合っていればOK!」と、強引にフルコンを装着すると、車内ネットワークの各コンピューターが異常と判断します。
エアコンやメーターが動かなくなるだけではなく、ABSが危険と判断して急作動するなど、さまざまなトラブルが発生してしまいます。
この車内ネットワークの中で共存できるのが、M1シリーズなのです。
従来のM800系でもCANネットワークの共存は可能でしたが、M1シリーズは、それを凌駕するレベルにあります。
その秘密は、車種専用にECUデータを構築して、完全に純正同様の制御を可能にできる「M1ビルド」というソフトウェアにあります。
現在、R35GT-R用と86/BRZ用、マリンジェット用などのパッケージが販売されていますが、この「パッケージ」こそ、車種専用に構築されたOSとも呼べる物なのです。
車内ネットワークでデータを共有できるだけではなく、純正同様にクルーズコントロールが作動するなど、完全にノーマル然な制御をおこないます。
つまり、自由自在にセッティング変更ができる純正ECUのようでいて、MoTeCならではのブーストコントロールやノック制御、トラクションコントロールが可能です。
純正のCANシステムや、エンジン制御ECUを解析できれば、M1ビルドを使って、あらゆる車種専用の「パッケージ」を製作することが可能です。
「パッケージ」は、各M1ごとにインストールする必要があり、コピーや流用ができません。つまり、製作すれば世界のユーザーにネットを介して販売することが可能です。
すでに海外では、ダッジ・バイパーやHAYABUSA用のパッケージを独自開発して、プラグイン配線とセット販売しているショップもあります。
M1シリーズは、これからの車種のフルコン制御に欠かせないECUです。
柔軟な思考でソフトウェアを理解し、M1ビルドを使いこなすことができれば、製作したパッケージを世界に販売することも可能です。
いち早くM1に挑戦して下さっている日本のエンジニア様、応援しております!
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