配線の重要性 |
まず、私たちの仲間であるMoTeC Finlandの、配線の耐火テスト動画です。
クリックして御覧になってみてください。
左の2本が高品質品で、右の2本が低価格品です。
耐火テストの結果は一目瞭然ですが、自動車用の配線として使用する場合には、耐火・耐熱以外にもさまざまな性能が求められます。
まず、最も重要なのは耐薬品性です。耐油性と言った方が解りやすいですね。
エンジンオイルやガソリンに簡単に侵されてしまうようでは、新規に引き直した場合でもすぐにトラブルが発生してしまいます。
次に重要なのが耐オゾン性。
ポリプロピレンや天然ゴムのような素材は、自然に劣化してしまいます。古い輪ゴムが伸びずにボロボロになるのを見たことがある方も多いと思いますが、あれがオゾン劣化です。
80~90年代に人気のあった、名車と呼ばれる国産スポーツカーや、ひと味違う部分が通好みのドイツ車(共にMoTeC制御の依頼が多い車種です)の中には、純正の配線に触っただけで、被覆が全部ボロッと剥がれ落ちてしまうケースがあります。
長年熱に晒されている部分なら仕方がないと思いますが、そうではない部分も同じようにボロボロと被覆が崩れてしまいます。こうなると、各配線の中身がすべて剥き出しになり、ショートしてしまいます。これがオゾン劣化の恐ろしさです。
しかし、配線を引く際にオゾン劣化を恐れる必要はあるのでしょうか。
チューニングやレストア、レースカーの配線製作には、大きく分けて2通りの考え方があります。
・数年間使用したら「車は買い換える」「作り直す」から安い方がいい。
・事故など重大なトラブルが無い限りは乗り続けたいから良い物を使いたい。
つまり、長年使う予定がないのであれば、オゾン劣化までは考える必要はありませんし、長年配線のメンテナンスを不要にしたい場合には、高い物を選択した方が良いと思います。
以前も紹介しましたが、弊社で販売している配線はテフロン被覆です。
例えば20ゲージ(0.5sq)の場合、弊社のテフロン線は¥220-/1m。しかし、安い配線なら¥20-/1mで買える物もあると思います。
つまり、車輌丸ごと1台レストアすれば、配線だけで数万円のコスト差になります。
超軽量ホイールやチタンマフラーとは違い、配線は地味な部品です。
自慢するどころか、むしろ見えない方が美しく仕上がります。
見えない部分に高い費用を掛けるのは「無駄」と考える人の方が圧倒的に多いです。
しかし、安くなるなら見えない部分は何でもコストダウンするべきでしょうか。
かつてマツダでRX7の開発主査を務めた貴島氏は言いました。「足回りの見えない地味な部品をゴムじゃなくてピロボールにしたから、今度のRX7は高いけど買って下さい じゃ通用しないんです。通用しないけど、性能が良くなるなら使わないわけにはいかないじゃないですか」
そこそこ良い物を安く作ることはできても、コストを掛けた良い物を超えることはできないのです。
多くの市販車はピロボールを純正採用していませんが、コーナリング性能を追求したい方は、足回りをチューニングする際にピロボールに交換します。配線もこれと同じです。
愛車と長く付き合いたい、コンディションを長く維持したいとお考えの方は、車輌の電気配線を新設したりレストアする際に、是非とも良い配線を選択してください。