FD3Sドラッグ仕様 |
車両はトップフューエルレーシング様製作のドラッグ仕様FD3Sです。
注目は巨大なターボチャージャーとワンオフのサージタンク。
エンジンと同じくらいのサイズに見えるターボは、ギャレットGT42。カタログスペックでは1000ps級の風量ですが、使用する燃料次第で1000ps以上の出力を狙うことも可能です。
ワンオフのサージタンクは、見ただけで判ると思いますがチタニウム製です。アルミ鋳造の純正品とはレベルの違う軽さに仕上がっています。
チタンは自己放熱性が最悪ですが、この車両に関しては、この部分が熱を持ってもまったく問題がありません。
インタークーラーレスなことからも判る通り、燃料はメタノール100%です。
メタノールはオクタン価112で、気化熱がガソリンの約2.5~3倍もあります。
注射の前にアルコール消毒で冷たく感じた経験があると思いますが、あれこそ気化で熱が奪われた瞬間です。
メタノールは同じ出力ならガソリンと比較して約2倍の噴射量が必要になるのですが、この2倍の噴射量が気化することで、インタークーラーが無くても、サージタンクがチタンでも、問題にならないほど吸気を冷却するのです(冷却に関しては冷間始動が困難になるほどです)。
これらの効果も含めエンジン出力も高くなるため、高出力を狙うという意味でも素晴らしい燃料です。が、燃料配管やインジェクターを腐食させてしまうことから、メンテナンスが大変です。
燃料ポンプもガソリン潤滑ができなくなるため、アルコール専用品が必須となり、エンジンオイルや混合オイルもアルコールと相性が良い物の中から、さらにロータリーエンジンに最適な物を選択する必要があります。
ちなみにこのFDはレース車両なので、ターボから出た排気管が後方ではなく、Uターンして前方に向かい、フロントバンパーの横から排気しているのもビックリです。
今回のセッティングではブーストもまだ低く、インジェクター容量にも余裕があるため、これからが本当に楽しみです。
トップフューエルレーシング熊木氏の、ドラッグレースに賭ける情熱を身近に感じられる環境で、お手伝いさせて頂けることに本当に感謝します!