AE86ターボ |
車両はAE86ターボ仕様です。
排気量は1600ccで、ターボはトラストのT517Zです。
1サイズ大きいT518Zもテストされたそうですが、こちらの方が下から上まで良い結果が出たそうです。
このAE86ターボは、以前は別のECU+ブーストコントローラーで制御していたそうですが、MoTeC ECUでエンジンとブーストを一括制御するために、仕様変更することになりました。
テックアート様には、AE86をMoTeC制御するためのオリジナルパーツがいくつもあります。
これはダイレクトイグニッション。
ノーマルはコイル1個です。1個の点火コイルで4気筒のプラグを点火しています。コイルを2個に増やして2気筒ずつ点火すると、コイルの仕事量に余裕ができるため点火が強くなります。これが同時点火です。そして、気筒ごとにコイルを1個ずつ、合計4本使うのがダイレクトイグニッションです。
簡単に説明すると、4サイクルの4気筒エンジンにコイルが1個付いている場合、コイルはクランク2回転で4回火を飛ばしています。ダイレクトイグニッションにすると、各コイルはクランク2回転で1回しか火を飛ばす必要がないので、充電時間がたっぷりと増え、確実な点火をおこなうことができます。
ちなみに、ダイレクトイグニッションにしなくても、MoTeC ECUは点火を細かく制御できます。1コイル+デスビのフルトラ仕様でも、点火時期を気筒ごとに補正することも可能です。
ダイレクトイグニッション化したためデスビキャップは外し、クランク角センサーのみ残しています。アルミ削り出しのオリジナルカバーは、MoTeC化するユーザーが多いために、製品化したそうです。
サージタンクの下に固定してある紫のパーツは、アイドルコントロールバルブ用の削り出しマウントです。
これがあると、某車用アイドルコントロールバルブを無加工で取り付けできるそうです。
このようなパーツを製作しているため、テックアート様は僅か数時間でMoTeC ECUの取り付けてしまいます。さすが専門店です。
前置きが長くなりましたが、セッティングは何の問題もなく終了しました。
最初ブースト1.2キロに合わせたところ、社外のブースト計では1.4キロ。安全な方へのズレですが、0.2キロもズレがありました。
しっかりと腰下を強化してあるそうなので、少しずつブーストを上げ、最終的に1.5キロに合わせました。
パワーチェックの結果は、383.7ps/39.8kg-m。
1t切る86の車重で、40kg-m近いトルクは凄過ぎです!
グラフを見て頂ければ判りますが、てっぺんまで一気に加速します。
さすがテックアート様です。
余談になりますが、ECUでブーストを一括制御したり、ダッシュロガーとリンクしてデータを表示させることには、非常に重要な意味があります。
例えばターボ車に必須のブースト管理ですが、ECUが認識しているブースト圧と、ブーストコントローラーが認識しているブースト圧、ドライバーが認識するメーターに表示されたブースト圧、これらはほぼ別の数字です。
これはブースト圧に限らず、水温、油温、油圧など、どれも僅かにズレがあります。
では、どの数字を信じれば良いのでしょうか。それは間違いなく、ECUが管理している数字です。
ECUはセンサーから入力された数字を元に、エンジンを正確に制御しています。ECU以外のセンサーから拾った数字を信じてしまうと、それこそ基準が無くなってしまいます。
以上の理由から、ブーストコントロールはECUで制御した方が確実だし、メーターもECUに入力される数字を共有するダッシュロガーの方がメリットが多いと考えます。
それともうひとつ。
MoTeC ECUの処理速度は、現在市販されているフルコンの中では最速と言われています。当然ブーストもその速度で制御します。ブーストコントローラーとして見た場合、ここまでオーバースペックなハードは他に存在しません。
さまざまな方法でブーストをコントロールできるだけではなく、ギリギリまで立ち上がりの良さを追求できるため、実際に走ると歴然のレスポンスを体感できるのです。
テックアート
http://www.tecarts.com/