ロータスエキシージK20SC その2 |
4気筒にはM400やM84を使うのが一般的なので、どうしてM800なの?と、感じる人も多いかと思います。
M800は、インジェクター出力8個、イグニッション出力6個を搭載しているので、4気筒に使用すると無駄に出力ポートが余ってしまいます。
例えばインジェクターが4本のエンジンにM800を組み合わせる場合、インジェクターアウトプットが4個余ります。M800は、この4個の余ったアウトプットを、他の出力に変更可能なんです。
このエキシージのセットアップで、どのようにアウトプットを使用しているかを、リスト化してみました。
●Aux出力
1 VTECコントロール
2 アイドルコントロールバルブ
3 スプール(カムHi/Lo切り替え)
4 タコシグナル
5 エアコン電動ファン Hi
6 エアコン電動ファン Lo
7 燃料ポンプ(メインタンク)
8 燃料ポンプ(コレクタータンク)
8個のAUX出力はすべて使用します。
電動ファンは、水温が88度以上になると回り、86度まで落ちると止まるのと同時に、車速が100km/h以上になると停止、95km/h以下で回るように、複合的な設定をしています。
これは、一定以上の速度ではファンが走行風の妨げになってしまうからです。
●イグニッション出力の空き端子
5番 予備(ブーストコントロール予定)
6番 エアコンコンプレッサー ON/OFF
6個ある点火出力のうち、1~4番は点火信号用として使用しています。
6番のエアコンコンプレッサーは、6300rpm以上で電磁クラッチが解除され、6000rpm以下で接続するように設定し、同時にアクセル開度85%以上でもクラッチ解除、80%以下で接続するようにしています。
これは、エアコンがエンジン負荷になるため加速時のパワーロスを防ぐことと、エアコンのトラブルを回避するために設定しています。
これを設定しておけば、エアコン入れっぱなしでも気兼ねなく全開走行できます。
今回は点火出力の5番を予備として空けています。これは将来的にターボ(バケモノ仕様のエキシージと同じ仕様)にステップアップした際、ブーストコントロールが必須になるため残しています。
●インジェクター出力の空き端子
5番 ラムダヒーター
6番 コイル電源
7番 オルタネーター(電圧コントロール)
8番 ギア リバースロック(車速が高いとバックギアに入らない)
1~4番の出力をインジェクターで使用して、残りの5~8番を出力として使用しています。
以上のように、M800を4気筒に組み合わせると、14個の外部出力に設定できます。今回は、このうち13個を使用しています。
一般的には制御できる気筒数ごとにラインナップさせて頂いておりますが、実は制御できる出力チャンネル数の差がM800の素晴らしい点であり、最も高性能なECUと呼ばれる所以なんです。
M800以外のECUを使用したり、M800でも8気筒に使用する場合には、出力ポートが足りなくて困る場合もあります。
そういう場合には、2種類の方法でポートを増やすことができます。
1つ目の方法は、MoTeC ECUのI/O(入出力)ポートを拡張する、E888の追加です。
E888をMoTeC ECUに接続すると、合計24個の入力ポートと、8個の出力ポートが追加されます(M84のみ非対応)。
2つ目の方法は、ダッシュロガーの追加です。
ダッシュロガーは車速や温度の条件で電動ファンを回すような制御ができる上に、MoTeC ECUと接続すると、ECUに入力されている温度・圧力・車速などのデータをすべて共有します。
センサーも追加できるので、デフクーラーやミッションクーラーの電動ポンプも自由に制御できます。
このような組み合わせをすることで、エンジンの制御と同時にあらゆる補機類の制御が可能になるのが、MoTeCのシステムです。
●オマケ●
MoTeC ECUを使っていない人でも、車輌のOBD2ポートにダッシュロガーを接続すれば、純正センサーの情報を表示できます。当然、追加した電動ファンなどの制御もできるので、
ストリートカーからレース車輌までお薦めです!