ハイ/ロー インジェクション |
対する大容量インジェクターは、高出力に対応できる反面、低回転&低負荷時に燃料を絞りきることが難しく、低容量インジェクターと比較して、扱いやすさや燃費の面で劣る場合があります。
最近では制御系の向上で大容量でも絞れるようになったり、サイズの割に霧化が良好なタイプが登場するなど、セッティングがやりやすくなってきました。
しかし、BIGタービンの600psと、小さいタービンでハイブーストを掛けた600psでは高回転の伸びに違いが出るように、インジェクターも突き詰めれば餅は餅屋です。
低回転&低負荷ではエコカーや軽のインジェクターを使って、高回転&高出力域では大容量インジェクターを使うのが、本来であれば理想なんです。
シーケンシャル噴射と呼ぶのが一般的ですが、モーテックではハイ/ローインジェクションと呼んでいます。今どきの言葉を使えばハイブリッドインジェクターですね。
MoTeC m800はインジェクタードライバー8個と点火コイル6個をコントロールするシステムなので、このままでは6気筒のハイ/ローインジェクション制御はできません。
(この図が通常の制御です)
そこで登場するのがイグニッションエキスパンダーです。
イグニッションエキスパンダーは、点火コイルを制御してくれるシステムです。m800とは点火コイル用の端子1本で接続するため、m800の点火用出力端子が5個余ります。
m800は出力端子を自由に設定できるので、余った点火出力をインジェクション出力に変更すれば、最大13個のインジェクターを制御できるようになるんです。
(点火コイル6個と12本のインジェクターをシーケンシャル制御)
しかも、プライマリーに設定した低容量インジェクターと、セカンダリーに設定した大容量インジェクターは、個別に無効噴射や燃圧を指定できるので、チューニングの自由度が大きいのも特徴です。
燃費、扱いやすさ、レスポンスは、制御次第でどんどん追求できるので、インジェクター12本ドライブにすることで、従来以上の完成度に仕上がる可能性もあります。
ちなみに、両方の図で余っている配線も、電動ファンやブーストの制御など、外部出力として個別に設定できます。
また、燃料配管を完全に分けられるので、燃料タンクを2個搭載すれば「低回転&軽負荷ではハイオク、高回転&高負荷ではレースガスorアルコール」としたり、室内のスイッチ切り替えで使用燃料を変更することもできます。
通勤など毎日の足に使っている車にハイオクを入れている人は、ノロノロ走るときだけレギュラーに切り替わるようにすれば、MoTeC化しても元が取れるかもしれませんよ!?