そのフルコンは何Vで起動しますか? |
毎日乗らないクルマの場合、バッテリーの電圧が落ちます。10V台になるとセルが勢いよく回らなくなり、10.5V前後まで電圧が落ちると、セルは回らなくなってしまいます(車種によって数値は上下します)。
これを踏まえた上で、趣味のクルマが置かれる環境を考えてみましょう。
普段乗らず、週末などにドライブやツーリングで使う場合や、月に1~2回走るだけというシチュエーションが非常に多いと思います。当然、バッテリーの電圧は落ちてしまいます。
仮に、11~11.3V台くらいのバッテリー電圧を想定してみましょう。
ぎりぎりセルが回る状態なので、キュッキュッキュッ…とセルの音に耳を澄ませて、始動することを祈っていることでしょう。キャブレター車の場合、セルがわずかでも回れば、初爆が来て始動する可能性があります。ところが、フルコンを装着している車輌の場合は、絶対に始動しない場合もあるんです。
フルコンはエンジンをコントロールするコンピューターです。当然ながら電力を必要としていて、電圧が低いと作動しません。例えば最低電圧11Vで動作するフルコンの場合、セルを回した瞬間に電圧が10V台に低下すると、動作停止してしまいます。つまり、バッテリーが完全に上がるまでセルを回し続けても、絶対に始動できないのです。
パソコンや携帯電話の電源をONにすると、OSが立ち上がるまでに数秒から数十秒掛かり、使えるようになるまで待たなければありません。
フルコンも同じで、イグニッションがONになってから作動開始するまでにタイムラグがあります。このタイムラグが数秒掛かるフルコンの場合、バッテリー電圧が低い状態での作動が絶望的です。セルを回す際に電圧が低下すると落ちてしまい、わずかに電圧が回復しても、動作開始までにタイムラグがあるため起動する前に落ちてしまう。これの繰り返しとなってしまいます。
現代の乗用車に装着するのを前提に設計されたフルコンの場合、想定するユーザーの車輌で問題なく使用できていても、電気系にストレスが溜まっている旧車に装着すると、なぜか不調が続いてしまう。こういうトラブルの相談が当社には来ることがあります。
MoTeC ECUもフルコンですが、最低電圧6Vで作動します。6Vではセルが回らないだけではなく、燃料ポンプやインジェクターも正常に作動しませんが、MoTeC ECUがこのような低電圧下で動作する理由は「最後まで落ちないため」です。電圧が低下することで、真っ先にECUが落ちるのは論外。最後までログを取り続けるのがECUの役目だからです。
そんなMoTeCだからこそ、セルが回る電圧なら、いつでも準備OKなんです。
そして、MoTeCの素晴らしい点、世界トップクラスの瞬間起動です。
キーを差し込んで一気にひねり、セルを回す。
調子の良いエンジンなら、その瞬間に始動します。当たり前の事かもしれませんが、イグニッションONの瞬間に起動して、コンマ数秒以内にエンジンコントロールを開始できるフルコンにしかできない芸当なんです。
「調子が悪い訳ではないけど、セルを回してから始動までに結構掛かる」という場合、装着しているECUが電源ONから作動までに数秒掛かっているのかもしれません。
当たり前のことを当たり前のようにできる。
そこに違和感を感じず、気持ちよく使用できる。
それがMoTeCの追求するエンジンコントロールです。