インジェクションのパーコレーション |
インジェクションの場合、キャブの約10倍の燃圧を掛けているため、燃料の沸点が上昇しています。
これはラジエターキャップと同じ理屈です。高圧を維持することで、燃料が高温になっても沸騰しにくいのです。
ところが、燃圧が高いのは燃料ポンプからレギュレターの間だけです。
レギュレターを超えて燃料タンクに戻るリターン配管の中は、ほとんど圧力が掛かっていません。このため、レギュレターを超えた瞬間に燃料が沸騰してしまいます。
スムーズに燃料が戻らず、配管内で沸騰した場合、管内圧力が上昇してレギュレター部分が若干詰まり気味になります。こうなると、安定していた燃圧が不安定になってしまうんです。
では、どうすると解決できるのでしょうか。
チューニングやレースの世界では、フューエルクーラーを装着することで燃料を冷やすのが有名です。
ただし、燃料配管に継ぎ目が増えれば、それだけ不安要素(燃料漏れ)も増えてしまうため、ストリート向きではありません。
この問題を解消するためには、リターンホースを太く設定するのが一般的です。
リターンホースが太ければ、レギュレターを通った燃料が沸騰しても、スムーズに燃料タンクまで戻ってくれます。
これはターボ車のマフラーに似てます。
二次排圧(マフラー内圧力)が高くなると一次排圧(タコ足内圧力)が上昇してしまいますが、大口径マフラーに交換すれば抜けが良くなるため、一次排圧が安定します。
高出力を狙うフルチューンエンジンの場合は、燃圧だけではなく流量も増やすため、太い配管に交換するのが定番です。ところが、キャブからインジェクション化した場合などに、細い純正配管をそのまま使用していると、それが原因で手痛いトラブルが待っている可能性があります。
インジェクション仕様で燃料系のチューニングをする際は、必ず仕様に合わせてリターンホースも大口径化しましょう。