キャブとインジェクションの違い |
パーコレーションに悩むと思われます。
先日紹介したT様のZが、どうしてパーコレーションしないのか。
インジェクションにすると何故パーコレーションで悩まず快適なのか。
そういう質問のメールがありましたので、判りやすく解説します。
パーコレーションとは、ガソリンが沸騰する現象です。
キャブレターから噴き出したり、エンジン不調になってしまいます。
でも、インジェクション車ではパーコレーションはほとんど発生しません。
お盆休みの大渋滞でも、ガス欠やバッテリー上がり、オーバーヒートはよくありますが
現代のクルマがパーコレーションで止まってしまう事は少ないです。
これは何故でしょう?
当社マネージャーの図を参照に説明します。
キャブレターには、何通りものガソリン配管がありますが、これはその一例です。
ガソリンタンクからキャブまで行きっぱなし。
昔はこういうのが一般的でした。
(最近のインジェクションにも、似たものが増えていますが)
これに対して、インジェクション配管の多くは
このようにガソリンタンクとインジェクターの間を循環するようになっています。
余ったガソリンがエンジンルームに残らず、速やかにタンクに戻る構造です。
沸騰する前にガソリンタンクに戻るからパーコレーションが起きない・・・
それは間違いです。
パーコレーションは、キャブ内部にある一時的に燃料を貯めておく部分で発生するからです。
これはキャブレターをインジェクターを模した配管にした図です。
このようなレイアウトにすることで、配管内のガソリンは循環するようになりますが
キャブの内部で発生するパーコレーションを防ぐことはできません。
特にL型エンジンのように、キャブの真下にタコ足がある場合は
キャブがモロに受熱してしまうので、パーコレーションが発生しやすいです。
でも、インジェクションだってタコ足が真下にあるのは同じ。
どうしてパーコレーションが発生しないのでしょうか。
それはキャブとインジェクションの燃圧の違いにあります。
キャブレターの場合、キャブ内の構造でガソリンがエンジンに吸い出されます。
吸い出されるガソリンは、内部のタンクに一時的に貯めてありますが
このタンクの燃料が減ると、燃料配管からタンクに補充されます。
このような構造なので、配管を通る燃料の圧力は0.3キロ程度です。
強烈に燃圧を上げると、キャブからあふれて噴き出してしまいます。
インジェクションの場合は、燃圧を使ってインジェクターからガソリンが噴射されます。
このため燃料ポンプからデリバリー、レギュレターまでの間の燃圧は
キャブの約10倍、3キロ前後となります。
液体は、圧力が高いと沸点が高くなります。
ラジエターキャップを高ブースト(?)対応品と交換することで
水温が120度前後まで上昇しても、何とかなってしまうアレと同じ理屈で
ガソリンも、燃圧が高いと沸騰しにくくなるのです。
ただし、これが万能という訳ではありません。
タンクのガソリンが少ない場合は
高温のガソリンが、さらに高温になってタンクに戻ります。
タンク内のガソリンが全部沸騰・・・という状態になる場合もあるんです。
長くなったので、続きは次回!